導入事例
株式会社アイ・キャン 様
- CATVネットワークシステム
離島の情報通信インフラ高度化を支える10Gbpsクラス無線設備を導入
- 業種:ケーブルテレビ局
- 所在地:山口県岩国市
- 目的・課題:離島の通信環境改善
株式会社アイ・キャン様は、山口県岩国市、和木町、周防大島町をサービスエリアとするケーブルテレビ局です。高速インターネットや多チャンネル放送の提供、地域に密着した情報発信などを通じて、地域の暮らしをデジタルの力で豊かにつなぐ役割を担われています。
2026年3月に、山口県大島郡周防大島町における情報通信インフラ高度化の取り組みの一環として、セラゴン社製ミリ波無線機「IP-50E」を導入いただきました。
今回は、取締役統括本部長 吉村様に、この度の設備導入の背景と「IP-50E」の導入経緯についてお話を伺いました。
離島への光ファイバー敷設が困難な中、自治体からの要望で通信の高度化が急務に

取締役統括本部長 吉村様
―まずは、10Gbpsクラスの超高速無線設備を導入することになった背景と、当時の通信環境の課題について教えてください。
吉村様:当社のサービスエリアである周防大島町は、本島側は橋に管路があるため有線(光ファイバー)で結ぶことができます。しかし、海を隔てた離島エリアは物理的な有線敷設が難しく、長年の課題となっていました。その中でも比較的世帯数の多い「浮島(うかしま)」に向けては、2011年の地上デジタル放送移行のタイミングで周防大島町の情報通信基盤整備を行い、その約1年後から無線通信サービスを開始しました。
当初は25GHz帯の無線システムを導入し、下り100Mbps/上り50Mbps程度の可変帯域で運用していました。しかし、本島から浮島までは直線距離で約3.41kmあります。これだけの海上区間になると、天候だけでなく潮の満ち引きによる海面反射の影響なども受けやすく、通信の安定性に懸念がありました。その後、海面影響を受けにくい5GHz帯のP2P(ポイント・ツー・ポイント)アンテナ(カタログスペック上最大300Mbps)に切り替えて運用を続けてきました。
転機となったのは、浮島にある小学校の通信環境の高度化です。本島側の学校では「GIGAスクール構想」による高速大容量通信が整備されていましたが、浮島側は実質的に“メガスクール”状態のままでした。周防大島町から「人数に関わらず、離島の小学校も高速化したい」という強い要望をいただき、10Gbpsクラスの高周波無線設備の本格的な検討を開始しました。

防大島町神浦から望む浮島

神浦アンテナと浮島アンテナの海上間3.41kmを接続する
「徹底した現地調査」と「ホット&コールドスタンバイ」による保守性の高さ
―複数メーカーの製品を比較検討された中で、セラゴン社製「IP-50E」および伊藤忠ケーブルシステムを選定いただいた決め手は何だったのでしょうか。
吉村様:選定において重視したのは「保守体制」です。設置先が離島であるため、万が一障害が発生しても簡単には現地へ向かえません。本島からの町営渡船は1日4便しかなく、急行するために船をチャーターすれば数万円の費用がかかります。一般的なセンドバック保守では、代替品が届いて復旧するまでに3〜4日、長ければ1週間も離島の通信が途絶えてしまいます。
その点、ICSさんの提案は、2式を同時に稼働させる「ホットスタンバイ」構成に加え、予備機としてもう1式「コールドスタンバイ」を自社で常備するというものでした。これにより、ランニング費用が要らなくなります。万が一の故障時にはスポット修理ということにはなりますが、修理に時間を要しても、その間の通信が途絶えることはないため、比較検討の結果、導入の大きな決定要因となりました。
また、現地調査に対する姿勢も評価しました。他社が机上検討だけで済ませる中、ICSさんは2回も現地に足を運び、念入りな調査を行ってくれました。そうした確実なサポート体制と価格面での優位性を総合的に評価し、導入を決定しました。
―実際に構築・導入を進める中で、課題となったことや苦労された点はありましたか。
吉村様:国内のケーブルテレビ業界において実導入の事例がほとんどなかったため、仕様に関する情報が少なく、設計や構築はまさに手探りの状態でした。 事例が無いことが直接の原因かどうかは分かりませんが、現地で実際に機器を接続した際、当社の既存ネットワーク全体に影響を及ぼす予期せぬ通信トラブルが発生してしまいました。
あらかじめ導入事例がいっぱいあって内容が分かっていれば、「こういう時はこうする」とすぐに解決できたのだろうなと思います。

神浦(本島側)に設置されたアンテナ

セラゴン社製ミリ波無線機「IP-50E」

―導入後の効果やご評価、今後の展望についてお聞かせください。
吉村様:晴天時の速度面については、おおむね期待通りだと考えています。コンディションが良い時は、おそらく住民の皆様の通信環境も大きく改善されていると思いますが、通信速度が実際にどのくらい出ているのかがこちらで分からないため、それが把握できればより良いと感じています。
利用者の方々からの反応ですが、通信インフラというサービスの性質上、何事もなく安定して使えている平時には、なかなか「良くなった」というお声を直接いただく機会は少ないものです。通信帯域にも十分な余裕がある状態になっているはずなので、どなたかお一人からでもそうしたお言葉をいただけたら嬉しいですね。
今後の要望としては、降雨減衰や天候、潮の満ち引きといった自然環境がどのように通信状況へ影響するのか、その変動度や速度、通信量をリモートで監視できる仕組みを期待しています。その上で、気象条件の影響を受けにくい通信方法についても、検討を重ねていきたいと考えています。
―お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
※掲載記事の内容は取材当時のものです。
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